もう少し寄り添えていれば
今日は僕が研修医の頃の話なのですが、
当直をしていると、知的、精神に障がいがある女性が腹痛で救急車で来院されました。
診察すると、卵巣が子どもの頭の大きさくらい腫れていました。
腹痛の治療、がんの可能性もあり手術を勧めましたが、
入院が怖いとおっしゃられ、家族も入院を希望されませんでした。
命に関わる病気であることを説明の上、患者さんは帰られたのですが
数カ月後、警察から自宅で亡くなられたとの連絡がありました。
その当時は、なぜ、患者さんは怖いといったのか、それに対して医療従事者がどう対応すれば、その怖さに対応できるのかわからず
本人、家族の言うがままに、家に返してしまったのです。
今であれば、もう少し、患者さんの「怖さ」に寄り添って、治療できるように歩み寄れたような気がします。